インターネットによる破壊的なイノベーションが起こった代表的な業界のひとつが音楽業界である。1999年「Napster」の登場による音楽ファイルの無料交換がイノベーションの序章であり、2003年「iTunes Store」のサービス開始が、CD販売を過去のビジネスモデルに追いやる流れの決定打となった。NapsterからiTunes Storeという流れは、インターネットによる音楽流通を正しい方向に向かわせるものだったとはいえ、業界低迷を加速させる要因のひとつになったともいえる。
4月の始めに市場調査会社の米NPD Group社の消費者行動追跡サービス「MusicWatch」が発表した最新のデータによると、アップル社の2008年の1月と2月における音楽の売上が、小売大手のウォルマート社を超えて全米最大になったという発表があったが、IT Mediaにその要因を分析した記事がある。
□IT Media
音楽販売でのロングテール化に見られる3つの側面
記事では、CDから音楽配信に置き換わるという単純な話しだけではなく、「メガヒット」とは対極にあたるマイナー作品への需要がインターネットによって顕在化および細分化したこと、いわゆる「ロングテール化」の進行が大量消費型市場を縮小させ、市場全体の量的成長に寄与していない状況になっているとしている。
また、こうした背景を受け、アーティスト側からも新しい取組みが始まっている。
□IT Media
マドンナの新しい契約の意味――希少性や体験性に価値
記事では、英ロックグループ「Radio Head」の支払う対価をお客に自由に決めてもらうというWebのキャンペーンや、「マドンナ」の音楽を売ることからコンサートのようなライブ活動にシフトする動きを挙げ、楽曲販売というビジネスモデルが変化していることを示し、この変化は音楽以外のさまざまなメディアやサービスのビジネスに示唆するところは大きいと述べている。
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